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オンライン画像処理システムにおけるラインセンサカメラの応用

オンライン画像処理システムにおけるラインセンサカメラの応用


1次元の線の単位で画像の撮影を行うラインセンサカメラでは、2次元のエリアセンサとは異なり、画像を撮影する上で様々な制約がある。一方で、ラインセンサでなければ得られないような映像を得ることもできる。
ここでは、オンラインの画像処理システムで使用されているラインセンサカメラの例をとりながら、ラインセンサカメラのメリットを紹介してみたい。


1 オンライン画像検査システム

  マイクロ・テクニカでは、様々な製品の製造現場の検査工程で使用されるオンラインの画像検査システムを手掛けている。これらのシステムの最大の特長は、製造工程と検査工程が密接に関連していることである。
 製造工程を終了した製品を、改めて別の工程で検査を行うオフライン検査システム(図1)では、検査に適した速度や単位で製品(被検査物)を流せるなど検査を行いやすいというメリットはあるが、製造を終了した製品を一時集積する必要があることや、検査のために改めて製品を搬送する装置の必要があるなど、効率の点では望ましくない。
 一方で製造・検査工程の流れの中で、製造工程と同一の速度、同一の単位で検査を行えるオンラインの検査システム(図2)は、製造から検査までを一貫した工程で行うことのできる優れたシステムであるといえる。しかしこの場合、製造装置に適した速度や単位で被検査物が搬送される可能性が高く、検査装置の設置を難しくしている。



図1 オフライン検査システム
図1 オフライン検査システム



図2 オンライン検査システム
図2 オンライン検査システム




2 ラインセンサの特長を生かす

 ラインセンサカメラは単体では1次元の線状の画像しか得られない。何らかの方法でカメラと被写体間の相対移動がなければ、2次元の面状の画像は得られないことになる。この特性はしばしばラインセンサカメラの取り扱いを面倒なものにしているが、オンライン検査システムにおいてはこの特性を積極的に生かし移動している被写体をそのままうまく撮影できる可能性がある。
 エリアセンサカメラでは、被写体をカメラの正面で静止させることができればもっとも都合がよい。しかしオンラインの検査システムでは、検査の都合で被検査物を静止させることはできない。このためストロボ照明や高速シャッタ機能を用い、静止した画像を得ることになるが、これらは照明などの選択の上で様々な制限がある。
 ラインセンサカメラでは、被写体の移動方向に直角にセンサを配置すればそのまま2次元の映像が得られるので、被写体が常に搬送され移動していることはむしろ利点となる。この場合、被写体の移動速度に注意を払わなくてはならない。ラインセンサカメラでは、被写体の移動方向に直角な方向の映像サイズはエリアセンサと同じく光学系のパラメータで決定されるが、移動方向のサイズは、被写体の移動速度と、ラインセンサのスキャン速度の関係で決定されるからである。このため、被写体の移動速度を正確に知るためにエンコーダなどの付加設備が必要となる。
 裏を返せば、移動速度さえ正確につかめれば、移動方向の映像サイズはレンズのディストーションやワーキングディスタンスなどの光学的条件には左右されず、非常に精度の高い映像の取り込みを行うことが可能となる(図3)。
 テープ状の被検査物について考察してみよう。この例では、比較的軟らかいテープ状の被写体を想定する。このような被写体を搬送するためには、図 4で示されるようなガイドローラーで被写体を搬送することになる。エリアセンサでは、被写体が平面上になっていることが前提となるので、ガイドローラーの真上のような曲面の撮影には適さない(図 4 (b))。また平面を確保するために、ガイドローラーの間の位置を撮影しようとすると、被写体が搬送に伴い上下にぶれ、やはり映像に歪みなどを生じる恐れがある(図4(a))。
 ラインセンサを使用すると、被写体は移動方向に対して平面である必要性がないので、搬送が機械的にもっとも安定するガイドローラーの真上の映像を撮影することができる。このため、非常に安定した精度の高い映像を得ることが可能となる(図5)。

図3 カメラと被写体の相対移動
図3 カメラと被写体の相対移動



図4 エリアカメラの例
図4 エリアカメラの例



図5 ラインセンサカメラの例
図5 ラインセンサカメラの例




3 光学的欠点を補う

 画像処理システム全体において、様々な部分のデジタル化が進んでいる。デジタル化によってシステムの安定性や信頼性は格段に向上している。この中で、照明を含む光学系はデジタル化が困難であり、画像処理システム全体の中でも弱点となっている。
 画像処理システムの最初の部分は被写体に十分な光を与える照明系である。安定した画像処理を行うためには、ここで、被写体全体に均一でムラのない照明を当てることが重要となる。またこれをとらえるレンズなどの光学系も被写体全体が均一に撮影できるように、周辺光量の低下などがなるべく少ないものを使用するのが望ましいといえる。
 一方でライン、エリアを問わず撮像素子の高画素化は著しく進んでおり、これにともない大きな視野の画像処理が可能となってきている。このためにはより広範囲にわたって均一な照度の得られる照明やレンズが求められるが、現実的には十分なものは難しく、画像のシェーディングとなって画像処理に悪影響を与える。
 照明、またはレンズにシェーディングがある状態での映像をエリアセンサとラインセンサで比較してみると図6のようになる。一般的に照明やレンズのシェーディングは中央部分が明るくなり、周辺部分が暗くなる傾向がある。この点ではエリアもラインも同じであるが、エリアのシェーディングが2次元的な複雑な形状になっているのに対し、ラインでのシェーディングは1次元的な単純なものとなる。
 2次元的なシェーディングは、補正するのが困難であるが、1次元的なシェーディングであれば比較的補正が容易である。具体的には、デジタル画像処理部で補正するのが効果的であるが、場合によっては、単純な遮光板を照明の中央部に取り付けるだけで補正できる場合もある。
 シェーディングと同様に光学系で発生する問題として、画像のディストーションがある。撮像素子の高画素化にともない、やはり見過ごせない問題となってきている。レンズにディストーションがある映像をエリアセンサとラインセンサで比較してみると図7のようになる。これもまた2次元的な複雑なディストーションは補正するのが困難であるが、1次元的なものであれば比較的容易に補正することができる。
 このように光学的な弱点を補ううえでは、ラインセンサカメラに優位性があるといえる。

図6 光学系におけるシェーディングの発生
図6 光学系におけるシェーディングの発生



図7 光学系におけるディストーションの発生
図7 光学系におけるディストーションの発生



4 カラーラインセンサカメラ

 画像処理部の能力の向上に伴い、カラーカメラによる画像処理もその応用範囲を広げてきている。カメラをカラー化するには、各種の方法があるが、エリアセンサカメラでは主に図8(a)で示される3CCD方式と図8(b)で示されるベイヤー配列CCDを用いた単板方式が使用される。
 3CCD方式は、RGBそれぞれの原色に1つずつのCCDを用いた方式で、カラーの再現性や解像度の点で最も優れた方式であるとされる。しかし、各CCDの位置精度の調整や分光プリズムなどに非常に高い機械精度が要求され、このためにコストが非常に高くなる。
 一方の単板方式では分光プリズムが不要で構造が単純になるため、低価格のカメラに使用されることが多い。1枚のCCDで3原色を扱うため、解像度などの点で3CCD方式に劣るのが現状である。
 ラインセンサカメラでは、これらに加え、図8(c)で示した3ライン方式が使用できる。RGBそれぞれの原色の3本のCCDを極力狭い間隔で平行に並べた方式で、ラインセンサならではの方式といえる。原理的に3原色それぞれの撮影位置が少しずつ異なる欠点はあるが、デジタル画像処理でこの点は補正が可能である。単板CCDとほぼ同じ単純な構造でありながら、3CCDと同等な高画質が得られるのが特長となっている。

図8 カラーカメラの方式
図8 カラーカメラの方式




5 さいごに

 ここまで、オンライン画像処理システムにおけるラインセンサの優位性を述べてきたが、やはりラインセンサには様々な撮影上の制約がある。
 最低限、カメラと被写体を固定できる機材さえあれば、とりあえず映像を写すことのできるエリアセンサに比べれば単純に映像を写すだけでもそれなりの機材が必要になるラインセンサは使用する上で敷居が高いのも事実といえる。
 これまで述べたようなラインセンサの優位性をよく検討し、制約も理解した上でシステムに求められる最適なものを選択することが重要であろう。


株式会社マイクロ・テクニカ
http://www.microtechnica.co.jp/


出典:映像情報インダストリアル2008年4月号
特集:ラインカメラとシステムでは、大型化するフラットパネルディスプレイの検査などに欠かせないラインセンサカメラ(ラインスキャンカメラ)に注目。さまざまな用途でますます注目され、高速、高精細、高感度など、メーカがそろえる特色あるラインセンサカメラの技術と製品を紹介します。また、ラインカメラを使った検査システムも紹介します。企業impressionは、画像圧縮・画質評価関連製品をラインナップしました。